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映画「レディオ・アクティヴィストたち/福島以後の日本のプロテスト」について・・・ユリア・レーザ

まず、イルコモンズさんと「アトミックサイト」にお礼を言います。映画を上映していただき、今日は特別な夜になりました。私の名前はユリア・レーザで、「レディオ・アクティヴィストたち/福島以後の日本のプロテスト」という映画の製作者です。今日はこの映画について、すこし説明をさせていただきます。

3月11日の地震と原発事故は、日本に強い影響を与え、多くの人が原発について考えたり、路上に出て何かを表現するきっかけになりました。

この間、いくつかのデモが企画されて、NGOや政治関係の人たちがデモを企画しましたが、そのなかで最も影響力を持っていたのが、先ほどみた「素人の乱」という人たちが企画したデモです。「素人の乱」は、何年も前から消費社会や過剰な労働などに対して反対する政治的な活動をやってきた人たちで、彼らはそういった政治的なトピックに対し、リサイクルショップや飲み屋など「自分たちの身のまわりのことをDIYでやる」というひとつの方法を提示してきました。

その「素人の乱」が、3月11日以後、いくつかのデモをしたのですが、それらのデモは、誰でも参加できる、また、誰でも自分なりの表現ができる、という点で特別なものだったと思います。そしてすでに何人かの知識人や学者たちは「素人の乱」の一連の動きを、日本の歴史における重要なトピックと認識しています。

もうひとつ重要なのは、「素人の乱」の一連のデモが、ブログやFaceBook、U-stream、Twitter などの新しいメディアを通じて広がったことです。これは今まで主流だったテレビ、新聞、雑誌に代わるもので、そのひろがり方も新しいものだったと認識しています。この映画で映し出そうとしたのは、この一連のデモが日本の過去何十年かの歴史のなかで「新しいもの」であったということです。

もうひとつ表現したかったことがあります。「素人の乱」のデモが「新しい」とはいえ、日本のデモはいくつかの問題を抱えていて、その問題についてです。まず「人びとがなかなかデモに参加したがらない」ということ。映画の中で社会学者の毛利嘉孝さんが指摘されてましたが、日本で「デモ」というと、「政治活動」や「内ゲバ」といったよくない政治的イメージと結びついてしまい、しかもそれが共有されてしまっていることです。日本にはもうひとつ問題があります。それは警察と法律の問題です。具体的にいうと、警察はデモを細かく分断したがり、それによって、デモ参加者たちは自由に動きまわれれないし、自由に自分の意志を表現することができなくなってしまうということです。


私たちは5月と6月に撮影したのですが、それはすごくおもしろい体験で、さまざまな人たちと出会えました。その撮影のなかで特に驚いたのは「日本のデモは警察官が多すぎる」ということです。ドイツでも何回かデモに参加しました。ドイツのデモにも警察はいるのですが、日本のようにデモを細かく区切ったりしないので、参加者は自由に動き回れ、まわりの注目を集められるようなかたちでデモができます。しかし日本だと、先ほど言ったように、細かく区切られ、とり囲まれることで、まわりから見ると、なんのデモなのかがわからないという状態にさせられてしまい、それに一番驚きました。

けれど、そういうなかで、デモのかたちが変わってきているのが分かります。ミュージシャンやアーティストが参加していたり、パフォーマンスをする人がいたり、そういう変化を感じます。ドイツでも同じようなことが起こっていて、少しずつ変わってきています。ドイツと日本で同じような変化が起こっていて、そのことがとても興味深いのです。

またこの映画の撮影の中で、たくさんの人たちと話をしたのですが、みなさんとても協力的で、何回も話に来てくれたり、撮影に応じてくれたり、それが印象深かったです。

ひとつ衝撃的なことがありました、映画に出てきた池上善彦さんと木下ちがやさんのインタビューを、東京のある公園のカフェで収録していたときのことです。10分か20分くらい経った時、店員さんがやって来て、「いま話されている福島の事故の話題がまわりのお客様に不快な思いをさせるので…」ということで退去を求められたということがあって、それにとても驚きました。

いま、私が考えているのは、福島の事故によって日本が変わっていくのか、ということ。多くの人がデモに来るようになるのか、ということ。それによって政治が変わったり、最終的に原発が止まったりするようになるのか、ということ、もしくは、だんだん関心も薄れていって誰も声をあげなくなっていくのか、ということ。それを考えているのですが、私としては日本の社会がよい方向に変わっていくことを期待しています。

ここまでが映画についての話なのですが、ここでみなさんにお願いがあります。この映画は私ともうひとり、学生のクラリッサ・ザイデルで撮っていて、かなり費用がかかっています。インターネットのサイトを通じてカンパができるようになっていますので、もしよろしければ、カンパをいただけると助かります。

ありがとうございました。

ユリア・レーザ

(2011年7月24日 東京「アトミックサイト」にて)
通訳:磯崎一希 転記:原田淳子 編集:イルコモンズ

※カンパの受付先 http://www.radioactivists.org

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